曲がったことがきらいですぐバーンとぶち当たってしまう外科医キム・ヨヌ(キム・ソヨン)は、
医療ミスを隠そうとする上司を告発しようとして逆に勤務先の大学病院をクビに。
さらには恋人に浮気をされているのもわかり、
落ち込んで気分転換に参加しようとした風船飛ばしのイベントでは
自分の直前で風船が無くなってしまい、
踏んだり蹴ったりで思わず座り込んで大泣きする。
そこで、以前ヨヌの母がひったくられたバッグを取り返してくれた
柔道の選手パク・チホン(チョン・ギョウン)と再会。
彼はヨヌが再就職先に選んだ「オリンピック選手村」に所属しており
そこの医務室長は、ヨヌが大学病院で上司にたてついていた時に居合わせた
イ・ドウク(オム・テウン)だった。
イ・ドウクはかつてスケートの選手だったが、事故で足を負傷。
後遺症が残って競技生活を終え、医師となったらしい。
足を引きずって杖をついている。
口が悪く、なかなか素直に感情を表さない。
また、かつては水泳選手であり、今はコーチとして選手村に入っているカン・ヒヨン(チャ・イェリョン)。
イ・ドウクとはかつて恋人同士だったが別れて別の人と結婚するも
ダンナの浮気で離婚。
今は同僚となったイ・ドウクとの過去のいろいろな確執で悩む。
この4人に、チホンのライバルであり友人でもあるユ・サンボン、
あとから選手村に入ってきた一匹狼で、荒っぽい反則すれすれな戦いをするコ・ボム、
ヒヨンがコーチをしている水泳の選手で、チホン大好きといつもひっついてくるコン・ユリ、
チホンの周りにいる個性的な選手村の柔道チームのメンバー
あるいは事故でなくなったチホンの兄嫁と、その息子である甥っ子のアルムなどが
絡んでくる。
このドラマの謳い文句?は”スポーツメディカル”なんだろうけども
終わってみれば、これがスポーツメディカルでなくてもよかった気はしました。
登場人物一人一人の心の動きが緻密に描かれており
それが、むしろ「国家代表のスポーツ選手」や「オリンピック村の医務室長」である以前に
一人の人間としての葛藤や成長を浮き彫りにして
時としてその背景が必要ないと思えるほどリアルだったから。
が、自分が長くフィギュアスケートのファンをしてきて、
スポーツ選手がいつもケガと戦い続けているのを知っているだけに
ドラマの中で次々起こるケガや事故、病気などの逸話はリアルに感じました。
そして登場人物の関係が、ありがちな単純明快でないのがよいです。
師であり同僚であり憧れであったり
恩人で好意は持っているけど恋ではないかわいい弟のような存在っだったり
かつて恋人であり、裏切られた憎しみを抱きつつも想いも断ち切れない相手だったり
恋のライバルではあるけどもお互い遠慮しあったり・・・
そしてその複雑な関係も、ドラマが進むにつれて変化していくのがまたリアルで楽しい。
今まで韓国ドラマといえば、
恋のライバル同士で女性(あるいは男性)を奪い合いドロドロ、だったり
生まれ育ちに秘密があったり、あり得ないほどに登場人物がセレブだったりして、
ドラマとしては面白いけどリアリティに欠けるもの、が多かった。
けれどこのドラマは本当に、どの登場人物の心理にもすごく入りやすく親近感が持てました。
いつも明るくて前向きな性格のチホンが、壁にぶつかってどん底に落ち込んだり
腕がよくてどんな時にも冷静に対応するトウクが、ヨヌの反対意見に悩んだり
金メダルまで取って強く頼れる存在だったサンボンが、悲しい事故のあと頑なになってしまったり
あるいはヒヨンがトウクとより戻せるかなぁとうじうじしてたり・・。
ドラマ前半はなかなか人物関係が変わらず、少しイライラすることもありましたが
10話まさかの事故で一気にドーン。
それまで明るかったドラマの雰囲気がガラッと変化・・・。
ここら辺がちょっと見るの辛かったです。
が、ツラい逸話もドロドロにならず、
救いがありながら奇跡は起こらないのが、絶妙なバランスだと思いました。
奇跡って、見ていると嬉しい時もあるけど
現実にはそんなウマイ話はないと我に返ることもありますから。
スポーツモノだけども成功物語ではなく、メディカルモノだけど奇跡は起こらない。
そういう意味ではどちらかを期待する視聴者には裏切られた感があるかもしれません。
が、ヒューマンドラマとして見た私には
非常に爽やかで良質な大人のドラマであると感じました。
最終回のまとめ方は、これまでの韓国ドラマの中で1番好きです。
あと、このドラマは映像がとてもキレイでした。
光の使い方がすごく印象的。
最初のチホンの夢の青い光もそうだし
暗闇に浮かぶカラフルな風船、
窓際の逆光に映された二人の影、
明るい日差しの中落ち葉の黄色が木漏れ日に輝いていたりと
すごく光と影のコントラストや色に神経を使ってあって
それでいて不自然なライトアップではなく、夜も昼も戸外も室内も美しかったです。
私が好きなシーンは
ヨヌが告白めいたことを言ってしまった翌朝、思わず車に隠れたのに
トウクにあっさり見つかってしまうところ。
その時の二人の顔に大爆笑しました。
それから最終回の病院で、サンボンが可愛い看護婦さんと云々とわかり
思わず、お前、もしかしてあの彼女と?!とチホンがやっかむところも好きです。
サンボンくんよかったねぇ。
このサンボン役の俳優さんもすごく気になりました。
あと、最後ちゃっかりコ・ボムがみんなの輪の中に入ってるとこも。
彼、過激な言動多かったけど、どうも最初から憎めなかったんだわ。
とにかくどの役者さんも生き生きとしてて
みなさんすごく演技がウマイんだけど自然な感じがするのです。
しかし私の韓国語読解レベルではかなり抜け落ちているシーンやセリフがあると思うので
日本で早く放送があることを期待します。
Hide More...